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Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now.

BAR GOLDBERG でヤナーチェクを語る

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先週、神保町の丸香を訪ねると盆休みで、仕方なく「まつや」まで足を伸ばすも行列ができてて入れず、裏の「薮」も文字通り"薮入り"で、名も知らぬうどんやで無念を啜ったことは Twitterに書いたが、その翌日もまたおなじような目に遭った。

旧友Sと、懐かしき渋谷の Boylstonで待ち合わせたのだが、なんとニューオルリンズにもウ〜ララボンッ! らしきものがあるらしく"夏期休暇のお知らせ"がぶら下がっており、やむなく、駅前の天狗で"杉蔵"の杯を重ねることとなった。いや、でもこの樽酒はけっこうイケルので、冴えない話題ながらもそれなりに楽しい時を過ごしたのだった。

しかし、その後、ジャズを聴きながら飲もうぜと、百軒店を目指したのだが、いやいや道玄坂の変貌していることと言ったらビックリだ。もちろん地形は変わるべくもないのだが、坂を登り始めたとたん、客引きのオンパレード! カタコトの真っ赤なミニスカネエちゃんに耳元に息を吹きかけられながら数十メートル歩く羽目になろうとは。こないだ神田駅前のキャバ嬢群にも驚いたが、その比ではない。バブル期には「ザ・プライム」などができて、少し上品な雰囲気に変わろうとしていたのに、元々の色町のパワーに押し返されて、ハチャメチャにギラギラな原色ネオンと生々しくも空々しい嬌声の渦に覆い尽くされた感じである。

果たして、目的の店も夏休みだった。はぁ... 我々がかつて毎晩のように訪れた「呑呑呑」も想い出の彼方(おじさん、健在だろうか?)、途方に暮れながら、円山町ホテル街の丘を越える。東急本店側は多少まだマシだが、なんか疲れてしまった。『今日はもう帰ろうよ』と声をかけたところ、『ココどう?』と路地の中をSが指差す。お、看板に「BAR GOLDBERG」とある。アールデコ調の書体とバロックな店名に若干違和感があるが、入ってみようか。

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ブラック基調の小さな店内には無調なジャズピアノが流れていた。カウンターに並んで座る。やれやれ、やっと羽を休められた。右側に先客がひとり。グラッパを頼んで、『この店はゴールドバーグ、それともゴールドベルク?』と聞くと、1人で切り盛りしているらしき若いバーテンダーが『ゴールドベルクです』『やっぱりグールド?』『はい』『新盤、旧盤?』『新しい方ですね』『あれが出たのは、ボクが大学を卒業した年なんだよ』...

先客の方は、ボクより少し上か、もしかしたら同年代だと思うが、やはりバーテンダーと音楽の話をしている。ここはホントにこういう店なんだな〜。昨日からずっとツイてなかったが、落下しながら闇雲に手を伸ばして辛うじてつかまったのは、けっこうステキな止まり木だったのかもしれない。

自分の趣味ではないが、BGMとしての無調の音楽というのはあり得るんだなぁ、という隣人と若マスターの話に乱入し、人間の耳の進化(退化?)や吉松隆へのオマージュで混ぜ返す。そして、どんどん気持ちが良くなって、勝手に自分のペースに持って行き、好きな音楽の話をしまくる。スンマセン...

フォーレの良さ、モーツァルトがわからなかった話(マスター曰く『今のワタシがそうです』)、シベリウスの節度、パーセル節、シューマンの謝肉祭をめぐるバーのBGMはかくあるべしといった話... マスターがまだ30そこそこと若いのをいいことに、知ったかぶりのオンパレード(ホント、スンマセン...)。また別のグラッパをもらう。何とも華やかでステキなお酒だ。

電車の時間が迫り、名残惜しいがみんなで名刺を交換し、慎み深いワタシの隣人が近所の某有名ホールの方だとその時知った。『あそこで観たイェヌーファは最高でした!』と言うと、『えぇ〜、ヤナーチェク好きなの?』『もう偏愛してます』『ボクはねぇ、ブルノでヤナーチェク・フェスティバルに参加したことがあるんだよ』『えぇえ〜、うらやましい〜』とまたまた話が盛り上がり、小一時間経過。マスターは、ヤナーチェク未体験ということで、BGMにぴったりなピアノ曲を何曲かご紹介。もう全く話が尽きないのであった。

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『駅に向かって走れ、S!』『間に合わなかったら電話しろ!』ワタシはもうあきらめた。この店に3本あるグラッパのうち、透明な瓶の中に薬草がゆらめく最後の1本をぜひ飲んでみたいのだ。1人残ってその神がかった甘露を舐め舐めもう1時間。イロイロとツイてなかった週末だったが、最後に良い夜が待っていたね。はい、では歩いて帰りましょう、ふぅ〜

1時過ぎでもまだまだ人がいる駅前のスクランブル交差点を通り、宮益坂から青山通り、外苑前〜神宮球場、信濃町から曙橋を経由して歩いて帰った。最初は眠くて、ビルの脇で何度か寝ちゃおうかと思ったが、歩いているうちにだんだん目が醒めてきた。神宮球場の脇の回廊は真っ暗で恐かったな〜。

昔と違って、なかなか渋谷方面に趣く機会はないが、これでひとつ動機ができたな。幸せな出会いに乾杯! 今度訪れた時は、"草かげの小径にて"がかかってるといいな〜

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コメント(2)

S :

あの晩の、渋谷を巡る冒険。「グラッパ、マール、グラン・プルー、ジャック・マイヨール、皆既日食、小笠原村、N響、ファゴット,オーボエ、ダブルリード、サイモン・ラトル、雨の夏三十人のジュリエットが還ってきた、清水邦夫・・・」
夢見てるみたいな体験だった。いや、Boylstonが、休みのお詫びに用意してくれた夢だったんだろうな。
ヤナーチェクなら「内緒の手紙」が好き。
09ウィーンフィルニューイヤーコンサートはダニエル・バレンボイムだったね。

のじ :

お〜、記憶を補充してくれてありがとう! ほとんど忘れとるがな > オレ... バレンボイムか、ありゃ〜。プレヴィンが振る日を夢見る。「内緒の手紙」イイね、あの曲、英語タイトルだと“Love Letter”なんだよね(^^

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このページは、ののじが2009年8月18日 22:20に書いたブログ記事です。

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